AI活用 ・ 2026.08.04
【2026年】美容室の「AI検索対策」、外に頼む前に知っておく3つの事実——AI経由の予約は、分けて数えられません

【2026年】美容室の「AI検索対策」、外に頼む前に知っておく3つの事実——AI経由の予約は、分けて数えられません
先に結論をお伝えします
2026年に入り、美容室のオーナーの元に「AIに聞かれたときに、うちの店の名前が出るようにする対策(LLMO対策・AI検索対策と呼ばれます)」の営業が増えています。これからお客様がAIを使ってお店を探す機会は確実に増えるため、こうした対策を頼むこと自体は、今後の集客を考えるうえで有効な投資になるでしょう。
しかし、この分野はまだ新しく、「対策の効果を正確に分けて数える方法」が確立されていません。また、提供されるサービスの料金相場も定まっていないのが現状です。
そこで今回は、オーナーがAI検索対策の契約を結ぶ前に知っておくべき3つの事実をお伝えします。この事実を知っておくことで、自店にとって本当に価値ある提案を見極める物差しを持つことができるはずです。
オーナーが知っておくべき3つの事実
- 事実① 提案で示された数字が「AIで店を探した人の割合」とは限りません
- 事実② AI経由の来店は、現在の仕組みでは、他の検索からの来店と分けて数えられません
- 事実③ 対策の中身が、すでに支払っている集客費用と重なることがあります
いま、美容室向けに何が起きているのか
2026年7月末に公開された記事では、美容室向けのAI検索対策サービスが紹介されています。これには、お客様がお店に置かれたタグに触れるとGoogleの口コミ投稿画面に進む仕組みや、口コミへの返信文をAIが作成する機能、ChatGPTやGeminiで自店がどう見えているかを確認できるツールなどが含まれています。
こうしたサービスは、2025年11月にもサロン向けのAI検索対策の解説記事が出るなど、美容業界特化型のサービスが次々と登場し、急速に市場を広げています。
この背景には、AIツールの利用者の増加があります。総務省が2026年7月24日に公表した「令和8年版 情報通信白書」によると、2025年度時点で生成AIを使ったことがある個人は58.8%に達しました。前年が26.7%だったことを考えると、わずか1年で2倍以上に増えたことになります。
AI検索でお店がどう選ばれるのか、自店で整えられることについては、別の記事で詳しくお伝えしています(AIに聞いて出てくる美容室、出てこない美容室——分かれ目は「情報の整え方」)。この記事では、そこから一歩進んで、外に頼むときの話をします。
事実① 示された数字が「AIで店を探した人の割合」とは限りません
営業担当者から提示される資料の中に、「生成AIを使ったことがある人が58.8%に増えました」といった大きな数字が出てくることがあるかもしれません。これは、総務省の「令和8年版 情報通信白書」で公表された事実です。
しかし、この数字はあくまで「生成AIを使ったことがある人の割合」を示しており、「AIを使って美容室を探した人の割合」とは別のものです。報告書では15〜19歳を新たに調査対象に加えているため、20歳以上に限ると52.2%になりますが、それでもこれはあくまで生成AIの利用経験の有無を示す数字に過ぎません。
オーナーがこのような数字を提示されたときにできる具体的な見分け方としては、**「その数字は、何をした人の割合ですか?」**と尋ねてみてください。誠実な会社であれば、この2つの数字が別物であることを説明し、自社がどういう根拠で数字を使っているかを明確に答えるはずです。もし回答が曖昧だったり、はぐらかされたりした場合は、少し注意深く話を聞く必要があるでしょう。
事実② AI経由の来店は、他の検索と分けて数えられません
AI検索対策を検討する上で、オーナーが最も気になるのは「本当にAI経由でお客様が増えたのか」という点ではないでしょうか。しかし、現在のウェブサイト計測ツールの仕様上、AI経由の来店数だけを正確に分離して数えることは困難です。
Googleの公式ヘルプ(Googleアナリティクス4)には、ウェブサイトへの流入元を分類する「オーガニック検索チャネル」の説明として「Googleの AI による概要と AI モードも含まれます」と明記されています。つまり、生成AIが回答した「AIによる概要(AI Overviews)」経由でホームページにアクセスがあった場合でも、通常のGoogle検索からのアクセスと同じ「オーガニック検索」に合算されてしまうのです。
また、Googleの公式ヘルプ(Search Console)には、AIによる概要のリンクをクリックすると「クリック数としてカウントされます」と書かれていますが、そのクリックだけを分離して見るための機能は提供されていません。
このことから、「AI経由で予約が◯件増えました」という報告は、いまの仕組みでは正確には作れないと言い切れます。もしこのような報告があった場合は、その会社が「どうやってAI経由の予約数を数えたのか」を具体的に聞く必要があります。
ただし、これはお店側の計測ツールの仕様によるものであり、「AI検索対策が無価値である」という話ではありません。測れないからこそ、その効果を測るための別の指標に目を向けることが重要です。具体的には、**「店名で直接検索された回数」や「予約に至った総件数」**など、もともと数えられる指標の動きを見るようにしましょう。
事実③ やることの中身が、いま払っている集客費と重なることがあります
AI検索対策の提案に含まれる施策の中には、オーナーがすでに別の費用を払って取り組んでいることと、内容が重なる場合があります。例えば、Googleビジネスプロフィールの整備、お客様からの口コミを増やす仕組みづくり、自店ホームページの情報整理などは、多くのサロンが既存の集客ツールやコンサルティング費用の中で対応しているでしょう。
AI検索対策は比較的新しい分野であるため、その料金相場はまだ定まっていません。ある会社の記事(2026年6月18日公開)では、診断・レポートで20〜80万円、月額のコンサルティングで20〜80万円とされています。別の会社の記事では、初期費用10〜50万円、月額10〜100万円(中心は20〜30万円)と、発信元によって数倍の開きがあります。
この状態は「怪しい」というわけではなく、市場が形成段階にあるため、何にどれくらいの価値があるかの共通認識ができていないことを示します。だからこそ、オーナーは提示された金額の大小だけで判断するのではなく、**「提案の中身が何で構成されているか」**を詳しく確認し、既存の費用と重複する部分がないかを確かめる必要があります。
以下の表を参考に、契約前に内容を確認しましょう。
| 提案でよく出てくる項目 | 重なりやすい既存の費用 | 契約前に確かめること |
|---|---|---|
| Googleビジネスプロフィールの整備 | 地図表示の対策をすでに外注している場合 | 同じ作業を二重に払っていないか |
| 口コミを増やす仕組み | 予約サイトの口コミ機能・既存の販促ツール | 集まった口コミが自店の資産として残るか |
| ホームページの情報整理・よくある質問の追加 | ホームページの制作・保守費用 | 追加した内容が自店のサイトに残るか、業者の管理画面の中だけか |
では、契約の前に何を見ればいいのか
AI検索対策は、その効果を数値で明確に切り分けにくい分野だからこそ、オーナーが契約の前に確認すべきことがあります。それは、「報告書の見本」を見せてもらうことです。
毎月どのような形式で、どんな内容を報告するつもりなのか。その報告書の見本にこそ、その会社の誠実さが表れます。
- もし報告書の見本に「AI経由の予約が◯件増えました」とだけ書いてある場合は、**「どうやってその数を数えたのですか?」**と必ず質問してください。明確な回答が得られない場合は注意が必要です。
- 逆に、AI経由の予約数を正確には測れないことを正直に伝え、代わりに「店名での直接検索数」や「全体の予約数」の動き、あるいはGoogleビジネスプロフィールの閲覧数やお客様からの問い合わせ数の変化などで説明している見本であれば、その会社は現在の仕組みをよく理解していると言えるでしょう。
まっとうな会社ほど、報告書の見本は喜んで見せてくれます。契約書にサインする前に、こうした「小さな一歩」を踏み出すことで、オーナーはより安心してパートナーを選べるはずです。
AI検索対策そのものは、やる価値があります(当社も同じ側にいます)
ここまでの話を聞いて、「AI検索対策はやはり怪しいのでは?」と感じたオーナーもいるかもしれません。しかし、AI検索対策そのものが悪いわけでは決してありません。
今後、お客様が店を探す際にAIを使う場面は、増えていきます。総務省の白書が示すとおり、生成AIを使う人はこの1年で2倍以上に増えました。早い段階から対策に手をつけたお店が、集客面で有利になる場面はあるはずです。
私たちアーキブル株式会社も、サロンのオーナーに向けてAI活用の支援を売っている側にいます。だからこそ、この記事でお伝えした事実は、決して「頼む先を疑ってください」という意味ではありません。AI検索対策を考えるうえで、同じ物差しを、ぜひ当社にも向けてください、という趣旨として受け取っていただければ幸いです。
AI検索対策の目的は、単にウェブサイトのアクセス数を増やすことだけではありません。適切に実施された対策は、お客様からの予約が増えることにつながり、結果として広告費を最適化したり、お店の利益を増やしたりする効果をもたらすでしょう。
よくある質問(FAQ)
Q1. AI検索対策は、いま頼むべきですか?
お客様が店を探す手段としてAIを使う傾向は今後も増えるため、早く対策を始めることで、競合店に先んじて有利なポジションを築ける可能性はあります。ただし、現状ではその効果を数値で正確に測ることが難しく、費用相場も定まっていません。本記事で提示した3つの事実を踏まえ、信頼できるパートナーを選ぶことが重要です。
Q2. 「AI経由で予約が増えました」という報告をもらっています。信じていいですか?
現在のGoogleの計測ツールでは、AI経由の予約数を他のオーガニック検索と分離して数えることはできません。もしこのような報告を受けた場合は、「どうやってその数を数えたのか」を具体的に確認し、その根拠を明確に説明してもらう必要があります。説明が曖昧な場合は、別の指標(店名検索数、全体の予約数など)で効果を判断しましょう。
Q3. いくらぐらいが適正な金額ですか?
AI検索対策はまだ新しい分野であり、料金の相場が定まっていません。そのため、「これくらいが適正」という共通の基準をお伝えすることはできません。金額の大小で判断するのではなく、提案に含まれる「具体的な対策内容」と「報告書の質」を重視し、既存の集客費と重複する部分がないかを確認したうえで、自店にとっての費用対効果を検討してください。
Q4. 自分たちだけでできることはありますか?
はい、あります。AIに聞かれたときに自店の名前が出るようにするためには、お店の情報をきちんと整備しておくことが最も重要です。Googleビジネスプロフィールを最新の状態に保つ、ホームページの情報を充実させる、お客様からの口コミに丁寧に返信する、といった基本的な対策は、オーナー自身で取り組めます。詳しくは「AIに聞いて出てくる美容室、出てこない美容室——分かれ目は「情報の整え方」」の記事をご覧ください。
参考(一次情報)
- 総務省「令和8年版 情報通信白書」の公表について(2026年7月24日公表) https://www.soumu.go.jp/menu_news/s-news/01tsushin02_02000184.html
- Googleアナリティクス ヘルプ「デフォルトのチャネルグループ」 https://support.google.com/analytics/answer/9756891?hl=ja
- Google Search Console ヘルプ「検索パフォーマンス レポート」 https://support.google.com/webmasters/answer/7042828?hl=ja
アーキブルでは、サロンの現状を整理する無料の経営診断を行っています。いまの数字と、すでに払っている集客費の中身を一度そろえてみると、「外に頼む部分」と「自店で整える部分」の線引きがはっきりします。AI検索対策を頼むかどうかを決める前の材料としてお使いください。
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