AI活用 ・ 2026.07.23
【2026年】AIに聞いて出てくる美容室、出てこない美容室——分かれ目は「情報の整え方」

【2026年】AIに聞いて出てくる美容室、出てこない美容室——分かれ目は「情報の整え方」
お客様がスマホに向かって「この辺で白髪染めが上手い美容室ある?」とAIに尋ねたとき、あなたのお店の名前は出てくるでしょうか。
生成AIを使ったことがある人のうち、64.8%が「自分が検討していた先が、AIの回答に出てこなかった経験がある」と答えています。そして、そのうちの30.3%は「候補から外した」「印象が下がった」など、実際に選ぶ行動に影響が出たとされています(株式会社BLJ「AI検索の利用実態と購買行動への影響に関する調査(2026)」)。
聞かれて出てこないお店は、候補から静かに外れていく。それはもう、少しずつ起き始めていることです。とはいえ、あわてて新しいツールを契約する必要はありません。今日からできる、情報の「整え方」から始めましょう。
先に結論——最初の一歩は、ツールを買うことではありません
AI対策と聞くと、新しい集客ツールや高額なサービスを思い浮かべるかもしれません。しかし、お伝えしたい結論はまったく違うところにあります。
最初にやるべきことは、新しいツールやサービスを契約することではありません。すでに世の中に出回っているあなたのお店の情報を、正しく、一致させて、お客様の言葉で揃えることです。
なぜなら、AIはGoogleビジネスプロフィール、予約サイト、お店のウェブサイト、口コミといった「すでにある情報」を読み取って、答えを組み立てているからです。お店の情報がバラバラだったり、古かったりすると、AIはそのお店を自信を持って薦めることができません。これが、AIに「出てこないお店」になってしまう理由です。
なぜいま「AIに聞かれる」ことが起きているのか
「AIなんて、まだ一部の人が使っているだけでは?」と感じるかもしれません。しかし、その状況は変わり始めています。
総務省の調査によると、2024年度の日本における個人の生成AI利用経験率は26.7%でした。前年度の9.1%から、1年で約3倍に増えています。年代別に見ると20代の利用率が最も高く44.7%と、若い世代を中心に広がっていることがわかります。米国(68.8%)や中国(81.2%)、ドイツ(59.2%)と比べるとまだ低いものの、伸び方は急です(総務省「令和7年版 情報通信白書」2025年公表)。
さらに、AIが単なる「調べ物の道具」から「お店やモノを決める入口」へと変わりつつあることも見えてきました。月に1回以上生成AIを利用する人のうち、約7割(69.9%)が買い物でAIを活用した経験があり、AIで調べた・おすすめされた商品やサービスを実際に購入したことが「ある」と答えた人は61.3%でした(株式会社エクスクリエ「日常生活・買い物における生成AI活用実態調査(2026)」)。別の調査でも、商品選びでAIの回答を参考にしたと答えた人は80.0%に上っています(前出・株式会社BLJ調査)。
一方、美容室を取り巻く状況はどうでしょうか。厚生労働省の「令和6年度 衛生行政報告例」によると、美容所の数は27万7,752件と、前年度から3,682件(1.3%)増えています。お店は増え続けている。つまりお客様は、どこかで必ず絞り込んでいるということです。その絞り込みの一部が、AIに移りつつあります。
もちろん、AIが集客のすべてを変える、と断言できる段階ではありません。ただ、お客様の探し方が変わり始めている以上、目を向けておく価値はあるはずです。
それでも「AIだけ」に賭けてはいけない3つの理由
お客様がAIを使い始めているとはいえ、「AI対策」をうたう高額なサービスに飛びつくのは危険です。いまの段階で「AIだけ」に集客を賭けるべきではない理由が、3つあります。
理由①:日本の利用率はまだ約4人に1人。お店の客層で影響はまったく違う
先述の通り、日本の生成AI利用経験率は26.7%、つまり約4人に1人です(総務省「令和7年版 情報通信白書」)。20代では44.7%と高いものの、40代以上ではまだ低い水準にとどまっています。
あなたのお店の主な客層が40代以上であれば、AI経由の新規集客はまだ限定的かもしれません。一方で、20代のお客様が多いお店であれば、AIから来る流れも無視できないでしょう。AIは新しい入口の一つになりつつありますが、すべてのお客様の行動を変えているわけではない、という見方を持っておくことが大切です。
理由②:AIに載っても、すぐ予約が増えるわけではない
AIの回答にあなたのお店の名前が載ったとしても、それがそのまま予約につながるとは限りません。米国の調査ですが、検索結果にAIの要約が表示された場合、その下のリンクをクリックした割合は8%にとどまりました。要約が表示されない場合の15%と比べると、およそ半分です。さらに、AIの要約の中に置かれた出典リンクをクリックした人は、わずか1%でした(Pew Research Center、2025年3月に成人900人の閲覧行動を追跡・2025年7月22日公表)。
AIは「答え」を直接お客様に示します。そのため、お客様はAIの回答で満足してしまい、わざわざお店のサイトを見に行かないこともあるのです。AIの答えの中で「良さそうな店」と思われることと、その場で予約が入ることは、別だと理解しておく必要があります。
理由③:引用されたかどうかを測る手立てが、まだ十分に整っていない
AIがあなたのお店の情報をどこから引用し、どれだけ影響したのかを正確に測る仕組みは、まだ十分にありません。アクセス数や検索順位のように、毎月の数字で追える指標が確立されていないのです。
そのため、「これをやれば、これだけ効果が出ます」と言い切れる段階ではありません。それなのに、AI対策をうたう有料サービスは増えています。だからこそ、お金をかける前に、まずは無料でできる土台から始めるのが現実的です。
これまでの探し方とAIに聞く探し方を並べると、違いがはっきりします。
| 比べる観点 | これまでの探し方(検索や地図、SNSで探す) | AIに聞く探し方 |
|---|---|---|
| お客様の動き | 検索結果や口コミを自分で見比べて決める | AIがまとめた答えを参考に、はじめから候補を絞る。AIの回答だけで決めることも多い |
| お店側で効くこと | 検索で上位に出す工夫、地図で見つけてもらう工夫、予約サイト内での露出、SNSの投稿 | どこを見ても同じ情報になっているか。お客様が実際に使う言葉で、お店の得意が書かれているか |
| 効果の測りやすさ | アクセス数、検索順位、予約サイト経由の予約数で追える | AIの答えに自店が出たかを直接測る手立てはまだない。自分でAIに尋ねて、答えの変化を定点で見るのが現実的 |
今日から整えられる、3つの土台
それでは、今日からお店で始められる「情報の土台作り」を3つご紹介します。いずれも、追加の費用はかかりません。
① 事実を一致させる
まずは、お店の基本的な情報がインターネット上でバラバラになっていないかを確認しましょう。AIは複数の情報源を照らし合わせて答えを組み立てます。情報が一致していないと、どれが正しいか判断できず、そのお店を紹介することをためらってしまいます。
確認したい項目は次の通りです。
- 店名の表記(カタカナ・ひらがな・漢字、全角と半角の統一)
- 住所(番地やビル名の書き方まで)
- 営業時間
- 定休日
- 電話番号
- 得意な施術内容
- 価格帯
これらが、Googleビジネスプロフィール、予約サイト、自店のウェブサイト、SNSで、すべて同じように書かれているかをチェックしてください。
よくあるズレは、「Googleビジネスプロフィールの営業時間だけ古い」「旧店名が一部のサイトに残っている」「価格改定がウェブサイトに反映されていない」といったものです。まずは一覧に書き出して見比べるところから始めましょう。
② 誰向けの店かを、お客様の言葉で書く
お客様がAIに尋ねる質問は、「駅から近い」「白髪ぼかしが得意な美容室」「子ども連れでも行けるサロン」「駐車場があるネイルサロン」のように、条件で絞り込まれたものがほとんどです。AIは、その条件に合うお店を探して答えを組み立てます。
お店の強みを「こだわりの技術」や「上質な空間」といった言葉で書くだけでは、AIはその中身を読み取れず、具体的な質問に結びつけることができません。
たとえば「白髪ぼかしが得意」ではなく「ブリーチを使わずに、透明感のある白髪ぼかしができる」と書く。「丁寧なカウンセリング」ではなく「初めての方には、ご希望を一つずつ伺いながらスタイルを決めていく」と書く。お客様が実際に口にする言葉で書き出すことが大事です。
小さな一歩として、いま来てくださっているお客様が予約時に何と書いてきたか、過去10件分のメッセージやメモを見返してみてください。そこにある言葉が、お店を探すときに使われている生の言葉です。それをそのまま、自店の紹介文や得意な施術の説明に取り入れてみましょう。
③ 口コミへの返信を、書き手のいる情報として残す
口コミは、お客様の生の声であり、お店の雰囲気を伝える情報源の一つです。そして、その口コミへの返信は、AIが読み取れる数少ない「お店の人の言葉」になります。
「ご来店ありがとうございました」の一言で終わらせず、施術内容や来店のきっかけに軽く触れて返しておきましょう。
たとえば、「先日は白髪ぼかしカラーでご来店いただきありがとうございました。透明感のある仕上がりにご満足いただけたようで、うれしく思います」といった返信です。
こう返しておくと、そのお店が何を得意としているのか、どんなお客様が来ているのかが、文章として残っていきます。「白髪ぼかしを探している人に合うお店だ」とAIが判断する材料になるわけです。
他業種でも同じ工夫が見られます。飲食店が口コミ返信でメニュー名に触れたり、宿泊施設が「露天風呂付きのお部屋でごゆっくりお過ごしいただけたでしょうか」と設備名に触れたりするのは、その一例です。返信の中に具体的な言葉があるほど、探している人に見つけてもらいやすくなります。
なお、価格の決め方や、自店の価値観をどう言葉にするかといった「お店ごとに設計が変わるもの」は、ここでは扱いません。まずは誰でもできる土台から始めるのが順番です。
「来た人を受け止める側」の準備も忘れない
入口を広げる話ばかりに目が向きがちですが、来てくださったお客様を受け止める側の準備も、同じくらい大事です。
AI経由で来られるお客様は、条件を絞って探してきた方が多いため、要望がはっきりしています。だからこそ、問い合わせへの返信の速さと、初回の対応が、そのまま印象になります。
「問い合わせには誰が、何分以内に返すか」を決めておく。まずはそれだけでも十分です。
そして、効果を見るときは、新規のお客様が増えたかどうかだけで判断しないこと。その来店で利益が残っているか(単価や再来率まで)を合わせて見てください。売上だけを見ていると、忙しくなったのに手元にお金が残らない、ということが起こります。
よくある質問(FAQ)
Q1. LLMO対策・AIO対策という言葉を聞きますが、何のことですか?
AIの回答に自店の情報が正しく取り上げられるよう、インターネット上の情報を整えることを指す言葉です。LLMOは「Large Language Model Optimization(大規模言語モデル最適化)」、AIOは「AI Optimization(AI最適化)」の略とされていますが、業界で統一された呼び方や定義はまだ固まっていません。各社がそれぞれの言葉を使っているのが現状です。呼び名にとらわれず、中身(情報を整えること)で判断するのが安全です。
Q2. ホットペッパービューティーに載せていれば十分ではないですか?
ホットペッパービューティーをはじめとする予約サイトは、いまも多くのお客様にとって主要な情報源であり、重要な入口であることに変わりありません。ただ、お客様の探し方が増えている以上、自店の情報が予約サイトにしかない状態だと、そこを見ずに探したお客様には、そもそも届きません。どこから探されても見つけてもらえるよう、複数の場所で情報を整えておくのが安心です。
Q3. 費用はどれくらいかかりますか?
この記事でご紹介した3つの土台(事実をそろえる・お客様の言葉で書く・口コミ返信を残す)は、いずれも追加の費用なしで今日から始められます。AI対策をうたう有料サービスも増えていますが、まずは無料でできる土台を整えてから、必要に応じて検討する順番でよいでしょう。
Q4. 効果はいつごろ出ますか?
現時点では、効果を明確な数字で追う仕組みが整っていません。そのため「何ヶ月で出ます」と申し上げることはできません。まずはご自身で定期的に、AIに「この辺で白髪染めが上手い美容室ある?」のように、自店が該当しそうな質問を投げかけてみてください。その答えに自店がどう出てくるか、内容が変わっていくかを定点で見ていくのが、いまのところ最も現実的な確認方法です。
Q5. AIが自店について間違った情報を答えていたら、どうすればいいですか?
AIは、インターネット上にある情報をもとに答えを組み立てています。間違った情報が出ている場合、元になっている情報源(Googleビジネスプロフィール、予約サイト、自店サイトなど)に誤りが残っている可能性が高いです。AIに直接訂正を頼む窓口は基本的にありませんので、まずは元の記載を直すのが先になります。直した内容がいつ反映されるかは、現時点では読めません。
参考(一次情報)
- 総務省「令和7年版 情報通信白書」(2025年公表) https://www.soumu.go.jp/johotsusintokei/whitepaper/ja/r07/html/nd112210.html
- 株式会社エクスクリエ「日常生活・買い物における生成AI活用実態調査(2026年)」(2026年4月調査) https://www.excrie.co.jp/report/generativeai-lifestyle-survey-202605
- 株式会社BLJ「AI検索の利用実態と購買行動への影響に関する調査(2026)」(2026年6月) https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000001.000184764.html
- Pew Research Center「Google users are less likely to click on links when an AI summary appears in the results」(米国・2025年7月22日公表) https://www.pewresearch.org/short-reads/2025/07/22/google-users-are-less-likely-to-click-on-links-when-an-ai-summary-appears-in-the-results/
- 厚生労働省「令和6年度 衛生行政報告例」(2025年10月21日公表) https://www.e-stat.go.jp/stat-search/database?layout=datalist&cycle=8&toukei=00450027&tstat=000001031469&statdisp_id=0004027011
情報を揃えるところまでは、お店だけでも進められます。ただ、そもそもいま新規のお客様を増やすことに一番力を入れるべきなのか、それとも先に別の穴——スタッフの定着や、お金の残り方——をふさぐべきなのかは、お店ごとに違います。
アーキブルでは、お店の現状を一緒に見ていく無料の経営診断を行っています。どこから手をつけるべきか迷っているときは、お気軽にご相談ください。
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